●前十字靱帯(ACL) 損傷/断裂

 

前十字靭帯(以下ACL)とは、膝の靭帯の1つで大腿骨よりも脛骨が前に行かないように、制御してくれている靭帯です。

ACLを損傷するときは、つま先が外側を向いて膝が内側へ向く、Knee-in toe-outの姿勢の時が多く、Knee-in toe-outにならないように日頃から気をつけておくことが大切です。

ACLが損傷した場合、膝の不安定感が著明に出るのですが、痛みで筋肉が硬直してしまった場合、不安定感が出にくく見逃してしまうことがあるので、アイシングをしたりして時間を置いてから徒手検査を行うこともあります。

断裂の場合は手術になることが多く、ACL単独損傷の場合はおおよそ半年ほどで競技復帰になります。

が、ACL以外にも内側側副靭帯や内側半月板も一緒に損傷(不幸の三兆)していた場合、半年での競技復帰が難しくなります。

断裂ではなくある程度の損傷の場合は保存療法が可能になります。

しかし、リハビリが必須になってくるので、復帰までに3か月以上かかることもあります。
 
 
 

●内側側副靭帯(MCL) 損傷/断裂

 

内側側副靭帯(以下MCL)は、膝関節の内側にあり、膝が内側に行き過ぎないように制御してくれる靭帯です。

損傷する際は、外側から膝に外力が加わり強制的に膝が内側に入ってしまう場合や、着地の際に膝が内側に入ってしまい損傷する事もあります。

徒手検査では外反ストレステストを行いますが、ACL断裂でも外反ストレステストが陽性になることがあるため、鑑別が必要です。

完全断裂やそれに近い部分断裂の場合は、手術になることが多いです。

保存療法の場合は、厚紙と包帯で3~4週間固定の後に、リハビリを開始して競技復帰になります。

軽度の場合は厚紙を使用することはありません。
 
 
 

●膝関節水腫

 

「膝に水が溜まる」という言葉を聞いた事がある方の方が多いと思いますが、この水というのは腫れている事を指します。

本当に酷い方は、膝の窪みなども分からないぐらい腫れる事もあります。

故に膝に水が溜まっている場合は、膝に炎症が起きているという事になります。

整形外科では水を抜いていただけるのですが、癖になるというのは「炎症が続いている」という事なので、この炎症が何故起きているのかを見極めないといけません。
 
 
 

●有痛性分離膝蓋骨

 

分離膝蓋骨とは、先天的に膝蓋骨が二つ以上に分裂しており、それが打撲などを契機として有痛性となる事があります。

主に男子に多く見られます。

症状としては、運動時痛や膝蓋骨の腫脹や圧痛、膨隆が見られるようになります。
 
 
 

●膝蓋軟骨軟化症

 

膝蓋軟骨軟化症とは、膝蓋骨の裏側と大腿骨が運動時に当たって擦れてしまい軟骨部分に変性を起こしてしまいます。

10代~20代の女性に多く、膝蓋骨の不安定感がある人に発症しやすいです。

膝を動かした際に、お皿がゴリゴリと音がしたり、膝を伸ばした際に軋むような音がした場合は注意が必要です。

膝蓋軟骨軟化症になってしまう原因としては、大腿四頭筋の萎縮による硬さや、筋力不足が挙げられます。

また、動作の中で股関節をうまく使えてない方がなりやすく、正しい体の使い方を覚えて頂く必要もあります。

先天的に膝のお皿の受け皿が浅く元々なりやすい方もいますので、整形外科でのレントゲン検査や症状が酷い場合はMRI検査も必要になってきます。
 
 
 

●膝の成長痛(オスグッド・シュラッター氏病)

 

成長期に起こるケガの1つで、大腿四頭筋の柔軟性低下により膝下の脛骨粗面部に張力が加わり、骨が出っ張ってくるものです。

ランニング種目とジャンプ種目に多く見られ、酷い場合は骨の部分が剥がれてしまうこともあります。

オスグッド病になる方の特徴としては、運動時に大腿四頭筋を使ってしまうことが多く、お尻や大腿部後面の筋肉を上手く使えていないフォームの人がなりやすいです。

オスグッド病を繰り返す方は、フォームの修正やセルフケアを行った方が再発防止になります。

セルフケアで当院がオススメしているのが、スクワットになります。

膝を前に出さないように行うスクワットはとっても効果が出ます。

ただ、続けないと効果が出ないので、根気よく続けて行く必要があります。
 
 
 

●鵞足炎

 

鵞足炎とは、縫工筋・半腱様筋・薄筋の付着部である鵞足部に、筋肉の硬さの影響で張力がずっと加わった為に痛みや炎症が出てくるものです。

圧痛もあるのですが、開脚のストレッチや内側ハムストリングスのストレッチを行った際にも、膝の内側にある鵞足部に痛みが出ます。

急激な切り返しや、水泳の平泳ぎでも痛めることもしばしば。

元々X脚で膝が内側に入りやすい人や、股関節が硬い人が鵞足炎になりやすいです。

アライメントから見ると扁平足も関係してくるのですが、そのような部分でもセルフケアをしっかりと行うと痛みが寛解してきます。

膝が内側に入りやすい人は、入らないように鏡を使いながら動作チェックをすることをオススメしています。